「自己鍛錬の妙薬」 安岡正篤氏

 人間はどんなことが起こっても、自由自在に対応出来る適応力を不断に養わなければいけない。
それには絶えず自力を養成しなければならぬ。
薬の力とか、医者の力とか、他物に依存して居っては段々に自力が弱くなります。
自然の体力、生命力が弱くなってしまいます。
どんな代用品も自然の生命力に勝るものはありません。
身体ばかりではない。生理ばかりではない。
精神、心理という意味に於ける性理、命理もすべてそうです。
そんなことから、病弱とか、愚鈍であるとか、貧乏であるとか、多忙であるとかいうことは、逆に自分自身を鍛錬する非常な妙薬、否、妙薬以上のものであります。


安岡正篤一日一言より引用

 お年寄りの真似をしていれば、健康でいられると私の父親がよく言っています。
それは、現代の人間の体に比べて、作為の加えられていない生活や食をしているからだと思います。
産まれた時からコンビニが身近にあって、化学調味料を使われていない食品に囲まれて育った我々の世代では、急激な生活の変化は却って逆効果かもしれません。
世には科学の力で生かされている人命も存在しますが、それは科学の素晴らしさだと思います。
自然で生きる事ができる生命のみが尊いという事は無いと思います。

 脱線しましたが、ここで安岡先生が仰っているのは、人間に科せられるマイナス要因(病弱、愚鈍)は、人間にとって成長の糧になりうる事を教えて下さっています。

 レストランの皿洗いを例にとってみますが、最初の内は仕事が遅く、沢山のお皿が一度に下がってくると、皿が山積みに成り、お手上げになるものです。しかし、「自分の仕事が遅いから」と反省し、仕事の速さを高め、知恵を絞って効率よく洗って、だんだんと要領を得てきますと、一度に皿が下がってきても動じなくなるものです。その頃には、慣れない人ではウンザリする様な状態でも、大した事はないと思えるようになるのです。其れが、成長です。

 人間、慣れない事や、弱点はあるものですが、それをカバーする智慧を絞って、自分なりの方法で乗り越えることで、成長することができます。できなくても良いんです。努力で、できるようになるか、他の手段を見いだせば。達人も最初は素人なんですから。

 人間関係で言えば、かなり難しい上司の対応を経験しておくと、その後のほとんどの上司が、優しく見えるものです。^^;

安岡正篤一日一言―心を養い、生を養う安岡正篤一日一言―心を養い、生を養う
(2006/05)
安岡 正篤安岡 正泰

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