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「女人五徳」 照心語録 五計 より 

女人に五徳というものがある。
第一は「平素人と争競せず」。
武家社会で婦人に社交を戒めた事には深い意味がある。
とかく無教養な婦人ほど社交に出ると他人と比較争競したがるからだ。
人と争い競わぬというのは男女を問わず大切な徳である。

第二に「苦難中怨言無し」。
苦しみ悩みの中にあって怨み言を言わない。
或る人が会社に辞表を出して帰ってきた。
妻に一言、「辞表を出したよ」と言うと、
彼女は言下に「それじゃまたお好きな魚釣りができますね」と言ったという。
これは嬉しい。かくあるのが本当の女性だ。

第三は「飲食を節す」。これは美徳だ。
牛飲馬食の女性ではいささか興が冷める。
第四が「事を聞いて驚喜せず」。
激情を露わにせずに、しっとりと落ち着いているのがよい。
第五は「よく尊敬す」。
何事によらず尊敬することを知るというのは尊い徳だ。
人間がこれあるによって進歩する。


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第一は「平素人と争競せず」。
 比べる事の虚しさ。争競の先に何が待つのか。
争競はせず、昨日の己と比べ、よりよき己へと明日は成長しているように邁進する。
他者と比べる者は、他者の境地までしか到達できない。
己と競争すれば、その際限はなくなる。

第二に「苦難中怨言無し」。
 女性は己の人生を夫に賭さねばならぬ事がある。
そして、必ずしも夫の判断が正しく、女性の思い通りにならないこともあるだろう。
まるで、先見性のないワンマン社長に振り回される社員のようでもある。
見限るのも一つの手段であるが、夫婦の契りを結んでいる以上は、雇用関係とは違う。
結ばれるからには縁があり、その夫に美徳があるからこそ。
夫を信じ、時には導く伴侶となるのが、女道というものかもしれない。

第三は「飲食を節す」。
 飲食の節度は、争競にも通ずる。
欲望をコントロールできる様になるのは、紳士淑女の条件だ。
ただし、なかなか難しい。

第四が「事を聞いて驚喜せず」。
 不動心を養うのは、木鶏の逸話に通ずる。
鶏でも、人間でも、動じない心を鍛錬する事は必要である。
そこに真の凄味や覇気が生まれる。

第五は「よく尊敬す」。
 天を敬い人を愛す。西郷南州の名言だ。
何か畏れ多い物を持つ事は、日本人としての謙譲の美徳を忘れさせない。
己の祖先、己を護ってくれる事物、己を大切にしてくれる周りを敬い、
敬うべき物は数え切れない。
他個を尊重する者は、自ずと他個より尊重されるものだ。
しなやかに生きたければ、先ずは己から始めなくてはならない。
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tag : 人間学 生き方 心得 安岡正篤 照心語録

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