時務 「照心語録」より 安岡正篤

儒生・俗吏はそれなりの仕事はするが、時務を知らない。時代を活かすに如何にすべきやという時務を知り得るのは、確かに俊傑の士である。利害やイデオロギーでない真の道を学んだ士にして初めて、時代に対する決定的な見識が立つ。

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 時務を見据える力はそうそう培える物ではなく、おそらく様々な学識や経験を積み、しかもそれに振り回されない胆識を身につけなくては手に入れる事は不可能だろう。
時務の問題点を見極められても、それをどう対処するかまで行くと、識見だけでは判断が利かない。
それだけ難しい物だからこそ、国の舵取りは難しく成功者ばかりではないのであろう。
当然、そこに私(わたくし)が在ったなら、それは役不足にも程がある。

 時務とまでは行かなくとも、日々の判断の基準として、仏教でも、キリスト教でも、イスラム教でも、儒教でも、一つは修めておく方が良いと思う。その上で、他の思想を知り理解すれば、自分の言い分と相手の言い分の両方を精査する事が出来るようになる。何も持たないで判断するのは、自分の見識の範疇を超える事はなく、狭い物になってしまう。

 何か自分の理想的思想を持つ事は、足枷になる場合もあるが、賢人の知恵を土台とする事が出来る。

theme : 文明・文化&思想
genre : 学問・文化・芸術

tag : 安岡正篤 人間学

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