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古書をよんでゐるヨ 勝海舟 氷川清話

 おれのところへは、幇間(たいこもち)や、遊人(一定の職業がなくて、遊んでいる人や遊女)や、芸人が沢山やつて来るヨ。芸人などは、無心で熟練した結果、一道の悟りを得たものが多い。しかし自分では、その事を覚えないけれども、おれがそれを推察して説明して聞かすると、彼らはいづれも驚いて、おれをひどく炯眼(真偽・本質を見抜く鋭い眼力。また、眼力が備わっていること。)だといふヨ。
 近頃の人は、みな自分でえらがり、論議ばかりしてうるさくて仕方がない。それゑ、理屈を書いたものを読むと肝癪に障る(頭に来る)から、ただ人情本や、古書など読んでゐるヨ。いつか作つた文がある。

先哲の書を見る詞

元和偃武以来国内の趨勢漸く文化に向ひ、豪傑英俊の士等文学に従事す。元禄前後に到りて、殊に傑出の輩不少。或は経綸の才識を具備せし者、或は高踏超凡なる者、或は往昔の古調を修むる者、或は印度の古義を明解する者、其他みな不撓の精神を以て、其道を自得し、有為の学者たるは不恥。我が殊に賞賛する数輩、今にしてその人不可見といへども、其の手沢の存する者あるを以て、憂鬱無聊の時に於いて展覧、古人の境遇如何を追懐すれば、不言中胸懐の快然たるを覚する也。


氷川清話 (講談社学術文庫)
 老年の勝先生の元へは、父の代からの縁もあってか、人物の魅力によってか、様々な人々が出入りしていた事がわかる。それを職業や学識で選別しないところに勝先生らしさがあり、私も共感するところである。夜の商売をしている人間でも、無心に打ち込んでいれば本物になれるし、必要悪と自身を大悟している者もいるからだ。こうした人々の話を聞くと、大変面白く為になることもある。

 当時の「幇間(たいこもち)や、遊人(一定の職業がなくて、遊んでいる人や遊女)や、芸人」というのは身分的には低く、一般の人間からは相手にされなかったり、馬鹿にされることが多かった。だから、人物観で観て貰う機会など無いから、勝先生に「一道を究めたネ」と言われると、自身に自信を持つと共に、勝先生の見識に驚かされるのだろう。しかし、勝先生にとっては、別段普通の会話の中で相手の姿を観ていれば、自然に判ることだから特別な事では無いと思う。これが、人間学を学んだ人物の、一つの特徴である。

>我が殊に賞賛する数輩、今にしてその人不可見といへども、其の手沢の存する者あるを以て、憂鬱無聊の時に於いて展覧、古人の境遇如何を追懐すれば、不言中胸懐の快然たるを覚する也。

 現在の私も全く同じ心境で、勝海舟先生の書かれた氷川清話を読んでいる辺りが、当時の勝先生の気持ちがよく理解できる。誇る為の学問や見識ではないのに…と。それを誇ることが当たり前になってしまっている事を「馬鹿じゃねぇのか」と癇癪をおこしつつ、冷ややかに見つめながら、古書に爽快感を求める毎日である。

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