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【瓠洲独言】子供の目

「孫が、ここに私が入所してから、将来の夢は介護士と話すようになったの」
こう、その利用者さんは目を輝かせて言ってくれた。

その利用者さんは自分にコンプレックスを持っていて、
入所した頃は伏し目がちでコミュニケーションも苦手そうであった。
新しい環境、新しい人間関係に怯えておられたのかもしれない。
早い時期に席配置の変更と、周囲の利用者さんにその方の性格を伝えてフォローして頂けるようにお願いした。
周囲の利用者さんの心配りもあり、数日後にはご家族が驚くほど笑顔を見せてくれるようになり、
その聡明さと人間愛を垣間見せてくれるようになった。

「本来の輝きを取り戻せたんだ」と思った。

その方のお孫さんは小学生の女の子。
お父さんに連れられて面会に来て、ずっと利用者さんのそばを離れようとしなかった。

昼食の時間になり、利用者さんが食事をされている時の近くに座っていた。
食事は持ってきていなかった様子で、上司とお父さんの話し合いが伸びている間待っている感じだった。
利用者さんから「あの子に私の食事を半分あげたい」と言われた。
だが、それでは利用者さんが空腹になってしまうので、
私と同僚の一人がその子を自分たちの食事をするテーブルへ招いて、
弁当から取り分けて一緒に食べることにしたのだ。

その子は本当に嬉しかったらしく、いつもその話を親や利用者さんに話し、
施設への面会に来るのもとても楽しみにしているのだそうだ。

「子供はよく見ている」と思った。
お弁当を分けてもらった事は嬉しいが、それが介護士になる動機にまではならないだろう。
おばあちゃんである利用者さんの変化を観察していて、その感動を私達同様に感じ取ったのだと思うのだ。

利用者さんがこの話をしてくださって、すぐにお弁当を一緒に分けた同僚にそれを伝えて利用者さんとお話するように勧めた。
私も嬉しさで涙ぐんでいたが、同僚は立ったまま「冥利につきる」と涙をボロボロとこぼし始めた。
表情を取り戻して利用者さんのところへ話しかけにいったが、「この温かい人間味が、一人の子供に夢をもたせたのだな」と背中を見送った。

本当にその子が介護士になるかは、今は分からない。
だが、こうした人間の変化や温かみを感じ取ることができるなら、
寄り添える、共感できる、素晴らしい資質を持っていると私は保証する。

何の道に進んでも、この資質は善く活きるはずだ。
私達も「その人の幸せのためには」という問いをいつでも持てるように精進したいと思いを深めるのであった。
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tag : 人間学

【瓠洲独言】人生最後の手紙

読者の皆様。いつも沢山の拍手を有難うございます。

今日職場で利用者様のお部屋を訪れたときに「ご相談したいことがあるのですが」と声を掛けられました。

その利用者様は以前、仕事をしていた時からのお付き合いであったある企業の社長から「高齢になり世代も交代しているので、そろそろ文通のやり取りも控えさせていただきたい」との手紙を受け取り、自身も入所の前に仕事がらみのお付き合いのある方へ同様の手紙を出したと仰りました。

老化により身体機能や脳の働きが落ちるため、限界を感じていることが大きな理由の様でした。
それ故に、相手に失礼があってもいけないという配慮もあるようです。

そんな中で「親しくしていた友人に同じような手紙を送ろうと考えておりますが、ご相談に乗って頂きたいのです」とのことでした。

まずは「高齢になるとそういう手紙を送ることになるのか」と驚きました。
今お付き合いしている方たちと老化によって会うことが出来なくなったり、連絡を取れなくなったりすることを想像したことが無かったので。
そして、それを送らなければならない「哀しさ」も感じました。
永遠に生きられれば、敢えてこんな手紙を書かなくても良いわけです。

手紙をお送りする相手も高齢な方なので、その手紙の真意を誤解せずに捉えることができると思うのですが、「これが最後」としてしまうと、どうしても伝えたいことがあったり、近くに来ることがあって会うチャンスがあっても躊躇させてしまったり、
別の気遣いをさせてしまうと思いました。
そこで、「定期的なお手紙は控えさせて頂きますが、気が向かれたり、お近くにお寄りの際には、また近況を知ることができればとてもうれしいです。」と添えては如何でしょうとお伝えしました。

利用者様もその方向で考えてくれそうで、手紙を書くときに一緒に書いて欲しいと仰って下さいました。

人生の最後に出す手紙はどんな手紙になるのか。
そんなことを考えたこともなかったのですが、いつまで生きていられるのか分からないからこそ、未来へつなげる手紙を敢えて書く事も、「生を全うする心意気」ではないかと思いました。

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美と醜 松下幸之助 松下幸之助一日一話より

私の自宅に近くに水のきれいな池がある。
水面に周囲の樹々の姿を映し、まことに風情がある。
ところがこの池がひところ雨が降らなくて、そこの大半を露出してしまうまでになった。
映すべき何物もなくい底を露呈するばかりである。
の反面にはがある   そんな思いである。

お互い人間も、これと同じことではなかろうか。
とが、相表裏しているところに、人間の真実がある。
とすれば、の面にのみとらわれて、その反面のを責めるに急なのは、
人間の真実というものを知らないものである。
暖かい寛容の心を持って接し合うことが、お互いに明るく暮らすための、
一番大事なことではなかろうか。


[愛蔵版]松下幸之助一日一話

続き(解説)を読む...

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tag : 松下幸之助 寛容

【瓠洲独言】誤解を解くと

ご近所の人が入居してきたのに、その人を避けるように振る舞う利用者さんがおられる。(この方をAさんとする)
理由は「新しく入居した人(このかたをBさんとする)に、自分がここにいることが割れてしまうと、近所には秘密にして入居しているのに、それが知れ渡ってしまう恐れがあるから」らしい。
Aさんと昼食を一緒に食べていたら、その事を話してくれたので事情を探ってみた。

AさんはBさんの奥様と仲良くしていたが、Aさんの親戚がBさんの奥様をご近所トラブルで苦しめてしまった。その度に、Bさんの奥様を励ましていたという。

その奥様も亡くなったときいており、Aさんは自分の親戚が奥様にしたことに悔いを持っておられた。
それも、Bさんに自分のことをあかす障害になっているそうだ。

「どうにか、この苦しみを解いてあげたい」と思い、Bさんの事を以前から知っている同僚に相談してみると、Bさんは既にAさんの存在を気づいているが、こうした施設内の為に気遣って声をかけなかったらしい。

お互いに誤解している。
だから、AさんにBさんへ本当のことを話して「近所には自分の入所していることを知られたくないから内密にして欲しい。」とお願いするように勧めた。
Bさん話の分からない人物ではないし、むしろ奥様のことで感謝していると思ったから勧めたのだ。

Aさんに付き添ってBさんのお部屋を尋ねた。
そして、事の次第を説明すると、どんどんこれまでの時間を取り戻すように、仲良くお話をされ始めた。
そして、Bさんの奥様がまだ生きておられる事も知ることができた。
二人の誤解が融け、Aさんにとっては思わぬ喜びだったに違いない。

避けあっていた御縁が、元の姿を取り戻せて本当に良かったと、自分も幸せな気持ちにさせてもらった。

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tag : 誤解を解く

【瓠洲独言】利用者の息子さんと間違われる

この記事は、Twitterに投稿した文章なのですが、
私の友人から「ブログ読者の方向きの内容では?」とアドバイスを頂きました。
お時間のある方は、ご覧頂けると幸いです。
この話は、私の働かせてもらっている老人施設で昨日あったことです。


もう家族の顔も忘れてしまった利用者さん。
車椅子に座ったきり自立して動けず、意思の疎通も上手くできなくなってしまっている。
記憶もすぐに無くしてしまう。

そんな方がしきりに何かを訴えている。

観察してみると唇が乾いている。
胃ろうなので口からは何も摂取しない事になっているのだが、緑茶を脱脂綿に浸し、口のつけて差し上げると一所懸命に吸い始め、涙を流し始めた。
そして、俺の頬に手を当てて撫で、息子さんの名前を言いながら「ありがとう、ありがとう」と言ってくれた。

涙が出てしまった。
俺を息子さんだと思われたのだ。

その息子さんとの関係で、この利用者さんは過去に色々あった事について知っていた。
過去に色々な事があったとしても、親にとって子供というのは頼りたい存在なのだと感じた。
そして、俺はその利用者さんを自分の親に重ねて見てしまった。

今度息子さんに送る近況報告にこの事を書いて差し上げようと思う。
もしかしたら、息子さんの気持ちに何か変化があるかもしれないと期待して…。

そして、たとえ10分後に忘れてしまうかもしれないけど、利用者さん達の家族になったつもりでお手伝いしていきたいと思えた一日だった。
言葉が無くても、お互いに通じるものは確かに存在するのだ。

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tag : 親子愛

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