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冬がいい 老子と暮らすより 加島祥造

観光業者がわざわざ探す自然と違って、ここの自然は、ひとに見せつけないんですよ。
自然というのは、自分の美を誇示しないですからね。

(中略)

人に見せつけない自然からは、なんとも言えぬたしかなうれしさが伝わってくる。
こちらは、ただそれを自分だけで喜んだり、わくわくしたりすればよいわけです。

(中略)

年とともに、こうした四季の美しさがやっとわかるようになってきたんです。
たとえば前に話した夕菅の花の美しさ、気高さを知ったのは、六十近くになってからでしたよ。
年を食ったことで、またまったく新しい意識が生まれる。
さまざまな風物と自分の情念の結び合いが起こる、自然のなかにいると、こういう不思議さがわいてくる。年齢を重ねるほどそうなってきて、それで「いまここにいる」という自分が、ふと自覚されるのです。


老子と暮らす 知恵の森文庫

「老子」新訳―名のない領域からの声


まず、この本を書かれた加島祥造氏という方についてですが、英語書籍の翻訳や大学教員をされていた方で、約二十年前に長野県の南部・伊那へ住まいを建てて、横浜のご自宅と伊那の住まいを行き来しながら生活をされている方です。

伊那谷へ来てから己も自然の一部という自覚を得られ(悟られ)、自然の物を言わぬ声を感じ取られるようになり、老子の英文訳に出会われたそうです。
それから約二十年英文翻訳家から、タオイストとしての成長をされている方です。詩人・墨彩画家という面もお持ちです。

私も昨年の秋ごろから自然の中へ入っては、気付きや学びを自然から得ることができるようになりましたが、加島さんはその筋の大先輩にあたる方です。(笑)
そして、加島さん同様に老子との縁を得ていく道筋も似ていました。
元の分野が英文翻訳家と東洋哲学好きでは全く違っていますけども、加島さんの体験や特に「感じ方」に深く共感しています。

私も加島さんの別宅のある長野県に住んでいます。
そして、住んでいる街の周囲には多くの「観光業者の探した自然」とは違う「本来のままの自然」が多くあります。
木の朽ち方から、木の生える位置。土の肥沃さや湿り気。生えている野草の種類まで、異質なものは存在していない場所のことです。
自分もそうした場所にこそ魅力を感じています。

価値観の違う人からすれば、道なき森で特別美しい自然物のない魅力のない場所に映るかもしれません。
しかし、人の計算を上回る、自然界の大きな営みの巧みさや摂理、そして、その自然物の一番輝く健全な状態を見聞するためには最高の場所なのです。

加島さんの表現では「うれしさが伝わってくる」という、つまり自然の躍動感が伝わってきます。
四季を問わず感じ取ることのできるもので、人間が「生きる」ことへの疑問を抱いた時に「生きることが命をまわすこと。生きることが自分と他の生き物への奉仕」と迷いをふっ飛ばしてくれるぐらいにシンプルな答えを悟らせれくれます。
逆説的に言えば、「自分が生きない。足元の植物が生きない。雨が降らない。風が吹かない。太陽が燃えない。」こうしたことは、他のすべてが「生きてこない」という理屈でもあります。
そういう自覚を、言葉無しに解らせてくれるのが自然と一体になる経験です。

加島さんが「まったく新しい意識が生まれる。さまざまな風物と自分の情念の結び合いが起こる」と仰っている新しい意識や風物と自分の情念の結び合い。
これはその人毎の精神や環境や求めているもので変化するかもしれませんが、明日から飯のタネにするために役立つような物ではありません。
ただ、自然物のヒトとして正しい自覚と進歩した智慧を得る経験だと思います。

「「いまここにいる」という自分が、ふと自覚される」
このことが基本となるような気がします。
これを踏まえて、自然や人間の創りだした社会との繋がりの根底を築く感じかと。
その上での自然や社会との繋がり方や自分の在り方は、きっと変化していくと思います。
具体的に言えば、その自覚のない人は言葉の通じるヒトや予備知識を持っている機械を扱えるが、自覚のある人はどんな自然物でも対等に付き合い、必要に応じて助けを借り、それに対する節度や礼儀もわきまえるようになるといった感じでしょうか。

このブログの読者の方の中で、長野県だけでなく自然がそのままの状態で残っている地域にお住まいの方がおられたら、それはチャンスだと思います。
「自然の中におけるヒトとしての自覚」を得ることは、人生・精神・感情を豊かにしてくれ、ヒトとして高い文明へ至る感性を得ることと同意義だと思います。

どんな感じなのかと思われる方は、まずは加島さんの書籍を手にされると、明解にわかると思います。
お時間のあるときにでも手にとって見られてはいかがでしょうか。

theme : 文明・文化&思想
genre : 学問・文化・芸術

tag : 加島祥造 人間学 老子 伊那 伊那谷 自然

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Yさんへ

お久しぶりです。
拍手コメントありがとうございました。
このコメントを読んでいただけていれば良いのですが・・・

人は時期とともに役目や感性が変化する生き物ですね。
あの時に一つの目標に向けて努力した事を今でも思い出せます。

お互いに様々な艱難辛苦も楽しさや癒やしも経験してきたでしょうけど、もう一度、またあの時のように何かができれば面白いですね。

お元気で、幸せに暮らしてくださることを祈ります。

P.S.
仙人になれたかどうかは不明ですが、関わる人のタイプが変わってきていることは実感しております。
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